急性中耳炎や滲出性中耳炎は、年齢が進むにつれてアデノイドが小さくなったり鼻症状が軽減していく事により小学校低学年の頃には良くなっていきます。
しかし、その後も急性中耳炎を繰り返したり滲出性中耳炎が改善しきらないまま放置した場合、慢性中耳炎(慢性穿孔性〈せんこうせい〉中耳炎、癒着性〈ゆちゃくせい〉中耳炎)へ進行してしまう事があります。
さて、慢性穿孔性中耳炎、癒着性中耳炎とはどんな病気でしょうか。
慢性穿孔性中耳炎
- 原因は?
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急性中耳炎で鼓膜が破れては耳だれが出る、という事を繰り返している内に鼓膜が破れて、そのまま完全に治りきらない事が原因としては多いです。
その他、外傷(耳かき・平手打ちなどで受傷して)などの外傷や、以前の鼓膜チューブ留置の後に鼓膜が閉じきらない事といったケースもあります。
- 症状は?
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聞こえが悪い
耳だれ:鼓膜に穴がある事により外からばい菌が入り耳だれが出やすくなります。
- 治療は?
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症状がなければ、特に治療をせずに経過観察する事もあります。
しかし、聞こえの悪さ、耳だれの状態によっては鼓膜の穴を閉じる手術で良くなる事があります。
また、ご本人様の年齢や全身の状態等によっては、手術はせずに聴力を補聴器で補う方法もあります。
その都度、ご相談の上判断していきます。
癒着性中耳炎
- 原因は?
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滲出性中耳炎の状態が続き、どんどん鼓膜が内側に引き込まれていき中耳という部屋の内側に鼓膜が張り付きます。
その状態が続くとなかなか鼓膜が中耳からはがれない状態となります。これを癒着性中耳炎といいます。
- 治療は?
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手術による治療があります。
鼓膜をはがして、再癒着しないように補強し中耳に空気が保たれるようにする手術です。
ただし、手術後、時間がたって再癒着する場合が多いことから完全に治るのはなかなか難しいと言われています。
これらの中耳炎にならないようにするためには、急性中耳炎や滲出性中耳炎が完全に治るまで経過をみる事が重要です。