真珠腫性中耳炎とは、鼓膜の一部が中耳(ちゅうじ)の中に入ってきて、上皮が鼓膜の奥の中耳にたまってくる病気です。
たまった上皮は真珠みたいな色の塊を作るので真珠腫(しんじゅしゅ)といいます。これは良性のものですが、周囲の骨を破壊して多彩な症状を引き起こすとてもやっかいな病気です。
先天性(せんてんせい=生まれつき)のものと、後天性(こうてんせい=生まれた後に発生する)のものがあります。
後天性の場合は中耳の換気が上手くいっていない事が主な原因です。中耳は耳管(じかん)という管で鼻の奥にある上咽頭とつながっています。
耳管は、通常閉じていますが時々開いて中耳に空気を送り込み換気します。
山の上に登ったら耳がつまって唾を飲みこむと良くなった経験がありますでしょうか。唾を飲みこんだり、耳抜きをしたりすると耳管が開き、換気が行われ耳のつまりが解消されます。耳管が十分に機能しないと中耳は陰圧になり鼓膜が中に引き込まれます。それが真珠腫の主な原因です。
また、アレルギー性鼻炎・慢性副鼻腔炎など鼻に炎症があったり、お子様の場合アデノイドが大きいと耳管が機能せず中耳は上手く換気されません。鼻すすりの癖があっても中耳は陰圧になります。このような理由で鼓膜が中耳の方向に引き込まれ内側へ陥没すると真珠腫が発生します。
顕微鏡や内視鏡で耳を観察します。真珠腫や周りの骨破壊、耳だれを観察します。その後CTで耳小骨など中耳周囲にある骨破壊の程度や真珠腫の広がりを確認します。
基本的には手術で鼓膜の奥にある真珠腫を完全に取り除く事が必要になります。
基本的には全身麻酔での手術になります。状態にもよりますが、手術により真珠腫が完全に除去され聴力が改善する事もあります。真珠腫が疑われたら、手術可能な病院に紹介させて頂きます。